インタビュー Interview

北陸ヒトコト persons & things in hokuriku.

ライフスタイル・エッセイスト フランソワーズ・モレシャン さん

1936年パリ出身。1958年に初来日し、NHKをはじめ数多くのテレビ番組に出演。一時帰国後、1974年にシャネルの美容部長として再来日。幅広い分野で活動を続けながら、日仏文化交流にも尽力。2009年より石川県観光大使も務めている。著書に「失敗しないおしゃれ」「ラ・ガイジン」などがある。

北陸ならではの多くの魅力を、守っていくために。

1958年に初来日し、NHKフランス語講座の初代女性講師として人気を博したフランソワーズ・モレシャンさん。1964年に一度故郷のパリに戻ったものの、その10年後にシャネルの美容部長として再来日を果たし、以来、ファッションアドバイザーやフランス文化評論家など多彩な才能を発揮しながら活躍を続けている。

そんなモレシャンさんが長く生活の拠点としていた東京を離れ、金沢で暮らすようになったのは2012年のこと。それまでもイベントや講演会で何度も石川県を訪れていたモレシャンさんだが、その頃から北陸に対して魅力を感じていたという。「私はび・びをはじめとする日本独自の文化や美意識が大好きで、北陸にはそれが今もなお息づいていると感じています」。ただ、とモレシャンさんは続ける。「最近では北陸でも伝統的な家屋を壊して、新しく建て替えてしまうケースも少なくありません。現代的なライフスタイルを味わいたいのはみんな同じで、私だってそうです。だからこそ、元の建物を活かしてリフォームをするなど、現代のライフスタイルと日本らしさをうまく調和させることが重要なのです」。そのひとつのキーワードとしてモレシャンさんは「統一感」を挙げる。「たとえば、どんなに上等な着物と帯があったとしても、それぞれの色や雰囲気がマッチしていなければ気品がなくなってしまいます。それはファッションだけでなく、景観においても同じこと。統一感を意識しながら、北陸らしい街並みを残していってほしいと願っています」。

今年で9年目となる金沢での暮らしについて尋ねると、モレシャンさんは笑顔で「幸せです」と語った。「ずっと都会で暮らしてきた私にとって、北陸の美しい自然は日々の癒しそのもの。自宅近くを流れる浅野川や湯涌ゆわく温泉周辺の豊かな森など、こちらに来てから大好きな景色もたくさんできました。そして北陸の人は親切ですし、食べ物だっておいしい。これからもここでしか味わえない北陸らしい暮らしを楽しんでいきたいですね」。

日本らしさや北陸らしさ。その地域にしかない魅力を忘れずに、守り続けていくことの大切さを、今日もモレシャンさんは伝え続ける。

2007年から続けている金沢21世紀美術館での特別講座の様子。自分のスタイルを持つ大切さをさまざまなテーマを通して伝えている。
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