北陸 ヒト×コト

エベレストへの挑戦を、富山の未来の大きな一歩に。

立山ガイド

佐伯さえき 知彦ともひこさん

1978年生まれ。富山県中新川郡立山町出身。山岳ガイドとして立山の魅力を伝えているほか、NPO法人「自然遊育サポートとやま」の代表も務め、幅広い活動を展開。今春、富山県民初のエベレスト登頂に挑む。

2010年、長きにわたり後継者がいなかった立山ガイドに、新しい担い手が現れた。その人物は佐伯知彦さん、明治時代に立山ガイドの礎を築いた佐伯平蔵のひ孫である。立山連峰の麓にある芦峅寺で、代々山岳ガイドを務めてきた家系に生まれた佐伯さんだが、昔から立山ガイドを志していたわけではなかったという。「立山が身近にある環境で育ったので、正直その存在が当たり前になっていて。でも一度県外に出て、再び故郷に戻ってきたときに、改めて立山の美しさと奥深さに気づいたんです。それから自分もこの山の魅力を多くの人に届けたいと思うようになりました」。
 立山を訪れた人々に佐伯さんが伝えるのは、自然の美しさだけではない。古くから信仰の山として親しまれてきた立山の歴史や文化を学べるツアーにも力を入れており、これまでに修験道体験をはじめとする、さまざまな企画を実施している。

4月上旬、現地にて標高約5,000mで高度順応トレーニング中の佐伯さん。

さらに2017年にはNPO法人「自然遊育サポートとやま」を設立。富山の豊かな自然環境を活かした野外実習や小学校での課外授業など、その活動は多岐にわたっている。「活動のコンセプトは、20年後の元気で明るい富山を育むこと。地元を愛し、誇りに思い続ける子供たちを増やしたいとの思いで、活動に取り組んでいます」。
 そんな佐伯さんが目指す、もうひとつの夢。それは標高8,848m、世界最高峰のエベレスト登頂だ。2015年に登頂プロジェクトをスタートさせ、これまでにヒマラヤ山脈のメラ・ピーク

をはじめ、標高6,000mを超える世界中の山々に挑むなど、着々と準備を整えてきた。登山ルートはネパール側に位置する南東稜。登頂へのアタックは今年の5月中旬頃を予定しており、成功すれば富山県民初の快挙となる。
 「ネパールと立山は昔から交流が盛んなこともあり、だからこそ立山出身の自分が初登頂を達成したいという思いもあります。そして富山の子供たちに夢を与えるためにも、無事成功させたいです」。佐伯さんがエベレストの頂上を踏んだとき、きっとそこには富山の輝く明日が広がっている。