北陸 ヒト×コト

自分が結果を出すことで、多くの人に勇気を与えていきたい。

ワインを中心に、この土地ならではの産業を育てていきたい。

髙作正樹たかさくまさきさん×ワイナリー

川県輪島市門前町の海を望む丘陵地に、小さなブドウ畑とワイナリー(ワイン醸造所)が誕生したのは2013年のこと。「初めに自分たちで用意できたブドウの苗木はわずか650本。それが私たちのスタートでした」と語るのは、ハイディワイナリー創業者の髙作正樹さん。出身は神奈川県横浜市で、ワイナリー開設のため父の故郷でもある門前町への移住を決意した。数ある候補地の中からこの土地を選んだのは、土壌や日照がブドウ栽培に適すると知ったこと、そして何より「海と山に囲まれたこのロケーションを気に入ったから」と笑う。
 大学で工学を、大学院では法律を学んだ髙作さん。ものづくりを自分の仕事にしたいと将来を模索する中で、ワイン醸造所とブドウ畑を中心にレストランやパン工房などが集まる「ワイナリー空間」を知り感銘を受ける。「ブドウを育てワインを醸造する『ものづくり』と、その周りに産業が集まる『まちづくり』。
このふたつに取り組めるワイナリーに大きな魅力を感じたんです」。その後、フランスと日本国内のワイナリーでの研修を経て自らのワイナリー建設地を探し、この輪島市門前町で夢への一歩を踏み出すことにした。
 髙作さんがずっと大切にしているのは「みんなで夢を共有すること」だと話す。ワイナリー開業には土地や建物はもちろん、ブドウ栽培やワイン醸造のための設備が必要だった。資金面の課題を解決したのも、その「夢の共有」だ。「門前町にワイナリー空間をつくり、この土地の資源を活かして産業を盛り上げていきたい。そんな私の思いを、みんなの夢にしたかったんです」。髙作さんの夢に共感した多くの人から出資が集まり、ハイディワイナリーは誕生した。働くスタッフはSNSなどを通じて全国各地から集まり、また頒布会会員としてワイナリーをサポートする人は、日本全国から世界へと広がる。「ここは、みんなのワイナリーなんですよ」。
 苗木650本から始まったブドウ畑は今や7000本を数えるまでになり、ワイン醸造所に併設するレストランとパン工房は、遠方から訪れる人にも地域の住民にも好評を博す。「地元で仕入れた野菜や魚介を使ったり、私生活でも地域の方から食べ物をいただいたり。地域との共存共栄をこれからも目指していけたら」。
 今後についても、宿泊施設や門前町の風土に関わる新たな産業など、髙作さんの夢は広がる。「大切なのは事業として継続していくこと。この土地に根付いた産業を育てていきたいですね」。ここ能登の地に、髙作さんと多くの人の夢が大きく実りつつある。

ハイディワイナリー

髙作正樹さん

輪島市門前町千代31-21

株式会社ハイディワイナリー代表取締役。神奈川県出身。大学院法務研究科博士課程修了後、フランスと新潟のワイナリーでブドウ栽培と醸造技術を学ぶ。2013年に輪島市門前町にてワイン醸造所を開設、ブドウ栽培を開始。2016年には併設するレストランもオープン。ワインを中心に地域の多彩な資源を活かした新しい産業の確立を目指している。